【特集】野に咲くすみれ特集
日本にはすみれの仲間が多く自生しており、道端や野原、山道で良く見かけます。 古くは万葉集に詠まれた「つぼすみれ」など日本人にはとても馴染み深いお花です。
野原や低山でよく見るスミレは紫色の花を咲かせるものが多く、スミレの花色である青を帯びた紫色は「菫色(すみれいろ)」と呼ばれ、 古くは平安時代から装束の色の名として登場します。余談ですが、高山で見るスミレは何故か黄色い花のものが多いです。
世界のスミレの仲間は温帯に約400種、そのうち日本の仲間は約50種と言われますが、非常に交雑しやすく、自然交雑種や人工交配種、 さらに観賞用のスミレが野生化して交雑したものなど、日々新しい花が増え、分布地域による変種など個体差もあることから分類するのは大変なようです。 親株の特徴を受け継いだ子株を作るためには、「閉鎖花(つぼみを開かずに自家受粉し、種子をつくる)」から採れる種子を採り播きして増殖すると良いです。
スミレの花の特徴は、花弁は5弁で、上弁が2枚、両脇2枚が側弁、下にある唇弁が大きく基部が後ろに突き出して「距」と呼ばれる袋状になっています。 唇弁や側弁には特徴的な縞模様(紫条)が入ります。この模様は虫に蜜のありかを教える役割をしています。
スミレの形態は、株元から直接花柄(花梗)や葉柄が出る「無茎種」と、株元から茎(地上茎)を出し、その茎から花柄(花梗)・葉柄が伸びる「有茎種」とに分けることができます。
無茎種の代表的な品種には、エビチャスミレや小諸スミレ、肥後スミレ、叡山スミレなどがあり、有茎種の代表的な品種にはキスミレの仲間、タチツボスミレなどがあります。